瀬尾夏美/高森順子/佐藤李青/中村大地/13人の手記執筆者
2022年3月刊行
四六判並製 208頁
定価(本体1,900円+税)
ISBN978-4-910790-02-2 C0095
大切なものを失った人へ、
彼らの傍らにいたいと願う人へーー。
東日本大震災から10年。言葉にしてこなかった「震災」にまつわるエピソードを教えてくださいーー。そんな問いかけから「10年目の手記」プロジェクトは始まった。 本書は、暮らす土地も被災体験も様々な人々の手記をもとに、4人の著者が語りあい、自身を重ね、語られなかった言葉を想像した日々の記録である。他者の声に耳をすます実践がここにある。
目次
はじめに
【第一部 よむ 10年目の手記と往復エッセイ】
あなたは、いつ、どこで、どうやって書いたのですか 高森順子
・先生とハムスター ハム太郎
秘密とわからなさ 瀬尾夏美
・空に聞く H・A
・あの日 海仙人
読み手に〝秘密〞を託す 高森順子
・二〇一一年三月十二日から、現在へ はっぱとおつきさま
〝子ども〞だった彼らが語り出すまで 瀬尾夏美
・この先通行止め コンノユウキ
過去を辿る 高森順子
・消えた故郷 ほでなす
・もとちゃんへ 島津信子
手向けの花と、手記 瀬尾夏美
・スタート 西條成美/兄の思い出 吉田健太
ともに生きる 高森順子
・祖母の日記 八木まどか
・こぼれていく時間を集めて 柳澤マサ
・東北の伴走者 echelon
物語という火 瀬尾夏美
・海から離れず生きた十年 小野春雄
10年目の手記 全タイトル
【第二部 編みなおす 10年目をこえにする】
「10年目の手記」をつくる 繰り返し、かたちを変えて、読み返す 佐藤李青
わたしが話しているような声 中村大地
10年目をきくラジオ モノノーク
最終回 10年目の手記スペシャル 抄録
配信記録
「とある窓」の写真について
おわりに 声が声を呼ぶ 瀬尾夏美
(アーティスト/一般社団法人NOOK)
1988年東京都生まれ。土地の人びとのことばと風景の記録を考えながら、絵や文章をつくっている。2012年より3年間、岩手県陸前高田市を拠点にし、対話の場づくりや作品制作を行う。2015年仙台市で、土地との協働を通した記録活動を行う一般社団法人NOOKを立ち上げる。ダンサーや映像作家との共同制作や、記録や福祉に関わる公共施設やNPOとの協働による展覧会やワークショップの企画も行っている。著書に『あわいゆくころ
陸前高田、震災後を生きる』(晶文社、2019年)、『二重のまち/交代地のうた』(書肆侃侃房、2021年)。
(社会心理学者/阪神大震災を記録しつづける会)
1984年兵庫県神戸市生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科単位修得退学。博士(人間科学)。愛知淑徳大学コミュニティ・コラボレーションセンター助教。グループ・ダイナミックスの見地から阪神・淡路大震災の経験を表現する人々とともに実践的研究を行い、被災体験の分有のあり方について研究している。2014年に井植文化賞(報道出版部門)受賞。近著に「声なき被災者の経験を未災者に伝える」(岡部美香・青山太郎との共著『シリーズ人間科学6 越える・超える』、大阪大学出版会、2021年)。
(アーツカウンシル東京 プログラムオフィサー)
1982年宮城県塩竈市生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学。2011年6月より現職。都内事業の東京アートポイント計画、Tokyo Art Research Labに加えて、Art Support Tohoku-Tokyo(東京都による芸術文化を活用した被災地支援事業)を立ち上げから事業終了まで担当。ジャーナル『東北の風景をきく FIELD
RECORDING』編集長(2017~2021年)。著書に『震災後、地図を片手に歩きはじめる』(アーツカウンシル東京、2021年)。
(作家、演出家/屋根裏ハイツ主宰)
1991年東京都生まれ。東北大学文学部卒。在学中に劇団「屋根裏ハイツ」を旗揚げし、8年間仙台を拠点に活動。2018年より東京在住。人が生き抜くために必要な「役立つ演劇」を志向する。『ここは出口ではない』で第2回人間座「田畑実戯曲賞」を受賞。「利賀演劇人コンクール2019」ではチェーホフ『桜の園』を上演し、観客賞受賞、優秀演出家賞一席となる。近年は小説の執筆など活動の幅を広げている。一般社団法人NOOKのメンバーとしても活動。2020年度ACY-U39アーティストフェローシップ。
Art Support Tohoku-Tokyoの企画として実施したプロジェクト「10年目の手記」(企画運営:一般社団法人NOOK、主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京)のために、東日本大震災の経験にまつわる手記を執筆。